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医師主導の病理検査システム


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信頼関係でつながる医師主導の病理検査システムを
~私たちがデジタル病理検査を進める理由~

現場の医師の望みに応える新時代の病理検査システム

田中:私は総合病院の医師として、また開業医として、ずっと臨床に携わってきましたが、従来の病理検査の方法には問題を感じていました。

井内:出入りの医療サービス業者を通して検体を渡し、病理専門医に顕微鏡で検査してもらうしかなかったわけですよね。

田中:検体を渡してから検査結果報告書が返ってくるまでに時間がかかるのも問題ですが、一方で検査結果が出るまでの過程が見えないのも不安でした。それに検査結果にもばらつきがあると感じていました。ですから、このバーチャルスライドスキャナを使ったデジタル検査には期待をしています。

井内:田中先生はじめ、全国各地の先生にご協力いただいて、次第に実績も広がっています。今後はスキャナを備えた拠点を各地につくって、システムを充実していきたいと考えています。

検査のスピードアップは、患者さんの心の安らぎにも

田中:このシステムの利点としてあげられるのは、まず、病理検査の速さということです。これまでの、検体をプレパラートにして、それを病理医の元に運ぶというシステムでは、検査結果報告書が届くまで通常で10日、至急でお願いしても5日はかかりました。

井内:それが、このシステムだと、検査結果自体も速いし、ネットを利用しますから、2~4日ほどで検査結果報告書をお返しすることができます。

田中:患者さんを診察して日を置かずに結果がでることで、緊急措置を要するような場合はもちろんですが、それ以外でも臨床医としては非常に助かります。
がんなどの場合、検査結果が出るまで患者さんは不安な日々を過ごさなければいけません。その期間が一日でも短い方が、当然、心労も少なくてすみます。

周囲との関連で細胞を見られるから検査の質が格段にアップ

田中:われわれ医師は、長い間、病理検査は顕微鏡をのぞくものと思ってきましたから、デジタル画像での検査に不安を持っている方はまだ多いですね。

井内:そうですね。でも私の経験から言えば、このシステムを使うことで、病理検査の精度や質は確実にアップします。その一番大きな理由は可変倍率がきくということです。

田中:カメラで言えば、無段階でズームができる。

井内:顕微鏡の場合、レンズの組み合わせで何段階かの決められた倍率でしか見られません。細胞ひとつを見るか、ある程度の大きさの組織で見るしかないということです。
でも、じつはその中間の倍率で、周囲との関連を連続的に見て初めてわかることも多いんです。それを可能にした点で、高解像度のデジタル画像化は画期的だと言えます。

田中:組織の全体像の中で、異常な部分が発見しやすいわけですね。

デジタル化・ネット化で検査の共有とデータベース構築も

井内:先ほど、臨床医からは病理医のやっていることがよく見えないというお話がありましたが、それは、病理医の方からも同様なのです。

田中:現場がよく見えていないと。

井内:病理医のいる大きな病院でも、せいぜい一人か二人。相談する人もいない中で、黙々と顕微鏡をのぞき、重大な判断を下しています。病理検査専門の機関では、なおさら医療現場と切り離された孤独な作業を強いられているわけです。

田中他の部門と関わって新しい知識を仕入れたり、勉強したりする機会もあまりない。

井内:ええ、そうした意味でも、病理検査のデジタル化・ネット化は画期的な体制をつくり出します。単にテキストとしての検査結果報告書を出すだけでなく画像を添付することで、認識の共有ができ、必要であれば、ディスプレイに同じ画像を映し出して、臨床医と病理医が相談することもできます。X線診断の画像なども同時に表示できますから、各担当が離れた場所で相談することも可能です。

田中:大病院でしかできない専門医を交えたカンファレンスが、われわれのような開業医にも可能になりますね。

井内:それに、画像と検査結果をデジタルデータとしてデータベース化もできます。もちろん、個人情報の保護については万全のセキュリティシステムがとられていますが、症例の蓄積によって医療技術の向上にもつながるはずです。

田中:単純に検体の保存ということでもデジタル化の利点はあります。

井内:そうですね、プレパラートの形での保存は、容積としても重量としても不便なことが多い。それがデジタルデータなら、バックアップを含めても小さなハードディスク数台ですみ、退色などの劣化も防げるわけです。

なにより大きいのは医師同士の信頼が築けること

田中:われわれ臨床医の立場からいうと、信頼できる病理医の先生に見てもらえるということが、なにより心強い。

井内:業者任せになると、実際の話、誰が見ているかわかりませんしね。

田中:多くの典型的な症例の場合はそれでもなんとかすみますが、100件に1件くらい、どうしてもその分野に強い病理医の先生に詳しく見てもらいたい症例もあります。

井内:このシステムでは、そういった病理医の顔の見える体制の構築を大事にしていきたいと思っています。専門の垣根をとり払って、また、距離の隔たりをも乗り越えて、患者さんを中心に医師同士が手をつないで進めていく新しい医療。
このシステムの普及を軸に、そんな未来をめざしていきたいですね。

Profile

株式会社病理診断センター 取締役 井内 康輝

1974年 広島大学医学部卒業
1990年 広島大学医学部教授(病理学第二講座)
2004年 広島大学大学院医歯薬学総合研究科教授 広島大学医学部長(~2008年)
2012年 広島大学定年退職(名誉教授)NPO法人総合遠隔医療支援機構理事長就任 (株)病理診断センター立ち上げ
その他、現在も、広島市教育委員長、中央環境審議会臨時委員、広島県がん対策協議会委員長、広島県地域保健対策協議会理事、広島国際青少年協会代表理事など

田中消化器科クリニック 院長 田中 孝

1977年 広島大学医学部卒業
1982年 ボストン大学医学部 留学
1983年 広島大学医学部大学院卒業 静岡県立総合病院に内科医として勤務 内科副医長、内科医長などを歴任
1990年 田中消化器科クリニック開業
その他、日本消化器病学会認定消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会認定専門医、静岡県消化器科医会理事など